『「私」であるための憲法前文』 角川書店 大塚英志
全国から投稿された「自作・憲法前文」中高生の作品だけがズラーッと並べてあります。
ひとりひとり違う「憲法前文」は十代らしいおおらかさ、真剣さに満ちています。
現代の中高生に共通した価値観や流行っている言葉も見えてきます。
多少乱暴だったり、事実認識に問題がある文もありますが、百数十篇もの「憲法前文」を読むと、思春期の子どもたちが願っている日本の姿が決して今の憲法から遠いものではないことが実感でき、この本の巻頭に載せられた本物の「日本国憲法前文」もまたいっそう輝いて見えます。
最近、憲法をわかりやすく訳した本なども出ていますが、授業で使える!という意味では、ダントツこの本です。
小学校高学年以上なら、憲法を授業で扱う直前にこの本の中からいくつかを紹介し、「みんなも試しにつくってみよう」という導入をやってから、本物の日本国憲法をじっくり学ぶのもいいかなあ、などと思いました。
『私たちが書く憲法前文』という前作(姉妹篇)もあるそうです。いろんな世代の人が書いているものだそうで、これも、ぜひ読んでみたいです。
一部の中の、さらに部分だけ紹介すると、
「日本国民は、義務教育の中に、必ず球技を導入し、これを必ずやらせる。」という、自分ワールドなものもありますが、「まず初めに国の主人公は 国民ひとりひとりであって、決して天皇や首相ではないことを言っておく。」というような、本物の日本国憲法を意識したものや、「我らが国日本国が望むものは平和。 しかし日本ばかり見て他国を見ないというのもよろしくないので、木を見て森も見てジャングルをも見ろ。」という、真面目&ユーモア混在したものも。
そして、表現として素晴らしいと、私が思ったのは、誰も悪いことをしなければ決まりなんて要らない、という視点から書かれた、「そしていつか、日本国憲法を白い紙にしよう。でもただの紙じゃないよ。消した跡のあるよごれたきれいな紙だよ。」というものです。
私のようなヨレヨレの大人にはこんなのびのびとした憲法前文はとても思いつかないなあ。