『戦争で死んだ兵士のこと』 小泉吉宏(ベネッセ出版)

学級の子どもに読んで聞かせたら、意外なほどウケが良かったので紹介します。

悲惨なシーンはなく、どんな年齢の人が読んでも何かを感じるページがあるのが良いところ。
なぜ、人は兵隊にさせられるのか、ひとりひとりのいのち・人生にどんな可能性と権利があるのか、
大人こそ、考えさせられる絵本です。

いけないのは、読みがながふっていなくて、小学生には言葉がちょっと難しいところです。

そんなわけで、低学年用の意訳文(ひらがな)を各ページに貼りつけてみました。
(そんなことしていいのか、わからないけど)「今は のどかな 森の 中の 湖の ほとり、
 1人の 兵士が 死んでいる。」 で始まるお話で、

死ぬ1時間前、その兵士は何をしていたか。2時間前、どこにいたか。
・・・というふうに、過去へとさかのぼってお話が進みます。

わが校の子どもたちは「4時間前、戦いの 危険に 巻き込まれた 子どもを 助けていた。」
というところで、「ふーん」「へぇー」と、興味をひかれたようでした。

そこで、「戦争中なのに、なんで子どもを助けたんだろうね?」と訊くと

「子どもがかわいそうだから」 → うんうん。
「子どもは助けたら後で味方になるかもしれないから」 → そうかもね。
「子どもは戦争と関係ないから」 → ああ、そうか。・・・そうだよねえ。

「子どもは戦争と関係ないから」と キッパリ子どもの口から言われたことに少々ショックを受けました。
私には、この子たちを守り、平和を実現する責務があるのだ、というふうに感じました。

「『つるちゃん』の絵本に出てきたけど、 昔、 戦争に関係ない人までがたくさん殺されてしまったことも
あったんだよね。」「兵隊じゃない人を攻撃してはいけない、っていう、世界の決まりも一応、今はあるんだよ。」
と、つけたしの解説をしました。

物語はどこまでも続きます。

5日前、友達とどんな約束をしたのか。10日前、恋人とどんな約束をしたのか。
4年前、なぜ陸軍予備士官学校に入ったのか。10歳の時どんな子だったか。

「24年前の今日、この世に生まれ出た。」というところで、子どもたちは、
「この人は24歳で死んだんだね」「自分の誕生日に死んだんだね」

小学校1年生が最後まで集中して聴けたことに感心しました。

「お父さん お母さんが 結婚して 9年目に できた ひとり息子 だった。」

命のことについて、どこまで深く意味が伝わったかは、わかりませんが、

自分の家に赤ちゃんがいる子は特に、「出産を楽しみに待つ両親」の挿絵をじっと見ていました。