★あの夜空のどこかにE.T.が・・・?
小さい頃から星を見るのが好きだった。小学校の卒業アルバムの「将来の夢」というところには、デカデカと「科学者」と書いてあり、隣にはロケットに乗って(!)宇宙へ飛び立つ自分の姿が描いてある。そして最大のヒーローは「ウルトラセブン」。自由自在に宇宙を飛び回るヒーローの姿に、真剣にあこがれていたものだ。
子どもだったといえばそれまでだが、今思い返せば恥ずかしい限りである。まあ、すでに分数と少数の計算でつまずいていたほど根っからの「文系」人間である私にとってはもともと無謀な夢であったのだが、その反動か、私の宇宙へのあこがれは今でもつきることがない。「火星からの隕石に微生物の痕跡発見か?」とか、「宇宙人を目撃!」などという話題を聞くと、その真偽は別として、理屈抜きになんだかワクワクしてしまう。
ところで、以前NHKのある番組で、多くの科学者がE.T.=地球外生命の存在を真剣に探索しているということを知った。
もし地球外に高度に文明を発達させた知的生命体が存在するならば、必ず何らかの電波を発生させているはずである。ひょっとしたら、他の知的生命体に向けて何らかのメッセージさえ送っているかもしれない。
そんな仮説に基づいて、まずは「電波」を探す。それが今のところETを探す近道の一つであるらしい。巨大なアンテナを使い、今も科学者たちが宇宙に耳を澄ましているというわけだ(注・NASAを中心に行われている「SETI」と呼ばれる計画)。
これだけでも私のような「宇宙好き」の興味を引くのに十分だが、さらに興味深いのは、「もし実際にE.Tの電波を受信したらどう対応すべきか。誰がどう返答すべきか」などといったことを話し合う国際会議まで開かれていることだ。
アメリカのある科学者はその理由をこう述べている。
もし私がE.T.の電波を受信したとしても、それは私個人に向けられたものでも、特定の国に向けられたものでもありません。人類全体に対するメッセージなのです。そして、そのとき初めて人類の価値観は劇的に転換し、地球は一つになれるのです。
宇宙から地球を見た宇宙飛行士は、ほとんど例外なく地球がいかに青く美しい星か、そして人間が宇宙の中ではいかに小さな存在かということに強く心を動かされるというが、まさにそういうことなのだろう。
もちろん、現実の私たちはその小さな地球上においてさえ争いを繰り返し、一つになれずにいる。いや、きっと一つになる必要などないのだろう。互いに違いを認め合うだけで十分なのだ。そのことが本当にできるようになるまで、私たちはあとどのぐらいかかるのだろう?
しかし、である。
「あの山の向こうには何があるんだろう?」
・・・最初にそう思った人間がいなければ、人類は今でもどこか一カ所で細々と原始的な生活を営んでいたかもしれない。
そんな純粋な「好奇心」こそが、人間を進歩させてきたのだと、やっぱりそう思いたい。
そして、その「好奇心」をなくしてしまったときこそが、本当に人類が滅びるときなのだろう。
☆ ☆ ☆
前述の番組の進行役で天体物理学者・SF作家のグレゴリー・ベンフォードは、こう結んでいる。
たとえ「人類は宇宙で孤独な存在のだ」と証明されたとしても、必ずや人類は宇宙の海に船出するだろうと、私は確信しています。・・・「なぜ人類は孤独なのか」を探るために。
だから皆さん。たまには夜空を見上げて、「あの星の光は、いったい何年前に出発した光なんだろう」なんてことに、ぜひ思いを馳せてみて頂きたい。
そうすれば、「宇宙の広さに比べれば、自分の仕事の悩みなんてなんてちっぽけなんだろう!」なんて思えて、少しは気分が軽くなるかもしれない。
それは、決して現実逃避などではない。
自分も宇宙の立派な住人だという大事なことを、思い出すということなのだから。
P.S.
E..T.がいたとしても、映画のように友好的だとは限らない。もちろん、敵対的だとも限らない。おそらくコミュニケーションの取り方すらわからないだろう。アメリカの人気SFTVシリーズ『スター・トレック』にはそんなとまどう未来の地球人の姿がたくさん出てきて楽しい。また、カール・せーガン原作のSF映画『コンタクト』もあわせてぜひご覧いただきたい。