人事院は8月8日、国会と政府に対し一般職国家公務員の給与改定に関する報告と勧告を行いました。その概要は下記のとおりです。
月例給 一時金 配偶者手当 削減幅 −1.1% −0.25月 −500円
上記のように、 昨年に続いて月例給の切り下げと諸手当の引き下げ、さらに5年連続の一時金削減などで、年収減が過去最大(平均16.3万円、△2.6%)となります。
諸手当関係では、上記以外にも、下記の事項が言及されています。
@住宅手当は、自宅手当を新築・購入から5年間に限定、1,000円の手当の廃止
A通勤手当は、6か月定期券の価額による一括支給への変更
B調整手当の異動保障の見直し改悪、今後の寒冷地手当・特殊勤務手当の見直し
この人事院勧告(以下、人勧)を受け、各都道府県の人事委員会が給与勧告を行いますが、給与表の改定など、ほとんどの部分は人勧の内容と同じものが出されます。
また、すでに各都道府県では財政事情を理由にした賃金削減が広がっていますが、それに加えこの人勧の賃下げを上乗せする可能性があります。
この人勧、この後の各都道府県人事委員会勧告は、公務員と民間で約750万人の労働者の賃金に影響すると言われています。民間給与の決まる「春闘」、公務員賃金の決まる「人勧」、ここ数年は、この二つが悪循環し、官民の給与がどんどん下がって来ています。
4月に始まった健康保険の3割自己負担など国民負担増の一方で進む、この「悪魔の循環」を断ち切るためにも、今後のたたかいが重要です。
また、脱法的な不利益遡及となる「減額調整」を12月の期末手当で実施するとしています。つまり、4〜12月までの「月例給」のマイナス分と6月の「一時金」のマイナス分を12月の一時金で調整する、としています。また、一時金の−0.25月も12月の一時金で調整するとしています。となると、このような勧告が各県で出されると、12月の一時金は、共済掛金の総報酬制もあり、かなり減ってしまいます。事実、8月下旬に掛けて、総務省は各都道府県総務部長を呼んだ会議で、11月議会での条例「改正」、12月1日まで条例施行、12月10日の一時金での調整を指示していることが分かっています。
今後に関しても、大きな課題があります。大学が独立法人化することに伴い、来年から人事院は教職員給与に関わる勧告をしないと言われています。そうなると、各県人事委員会の勧告で教職員給与が決定することになり、地方でのたたかいが決定的に重要になってきます。それだけに、ILO勧告などの国際基準を含め、私たち自身の組織的・政策的力量の向上が必要になってきています。
【学習】クイズ 教員特殊業務手当 どんな業務で支給される? なぜ4時間? 突然ですが、問題です。教員特殊業務手当が支給されるのはどれでしょう。
1、休日のクラブ活動の指導をした場合
2、学校で計画したクラスの林間学校の引率
3、登下校時の児童が交通事故にあい、その救急にあたった場合
4、クラブで引率したものの、雨で運動競技が順延した場合の待機日
「教員特殊業務手当」と聞くと、「何、それ?」と思う人もいるかもしれません。しかし、「部活手当」とか「修学旅行の時とかに請求する手当」と言うと分かりやすいかもしれません。この金額が低額であることは、既に紹介したとおりです(→こちらを参照)
ところで、上の問題の解答は「すべて」です。
一般的には、クラブ指導や宿泊行事の引率で支給されているのですが、法令上は違います。あくまでも、「この手当は、非常災害時の勤務又は校外活動等の特別の勤務に伴う心身の負担に着目して措置されているもの」(『諸手当質疑応答集』学陽書房)です。ですから、上記の選択肢のような場合でも支給されるのです(逆に、祭りなどの定例的な見回りは支給対象外になります)。
また、部活動の指導などで4時間以上業務に携わらないと支給対象にならない、という点を各県でもよく問題にしていると思います。それも上記の理由に基づいて説明されています。部活動の場合の「心身に著しい負担を与えると人事院が認める程度」とは、「正規の勤務時間以外等において業務に従事した時間が引き続き四時間程度であること」(前掲書)とされているため、4時間の業務が必要とされているわけです。
しかし、実際に部活動指導をしている者にとっては、このような説明で納得はいきません。4時間の業務時間の短縮(4時間より短く)、時間単価の引き上げを要求していくことが大事です。また、学校5日制での休日の部活動のあり方をめぐっても、一般労働者の勤務時間縮減、子どもの健康など多面的な論議が必要です。