【特集】公務員の政治的中立とは

「公務員は政治的に中立でないといけない」と言われます。しかし、海外の例では、アメリカを除いた多くの先進国で公職に在職のまま選挙に立候補が可能など政治活動の自由が認められています。ILO・ユネスコの「教員の地位勧告」でも、「教員は市民が一般に享受する一切の市民的権利を行使する自由をもち、かつ、公職につく権利をもたなければならない」となっています。公務員の「政治活動の自由」は、特権的な影響力を行使できる高級官僚や軍隊など一部の例外を別として全面的に適用されるべきだという考えは世界の常識です。実際、ドイツ・フランスをはじめ民主主義を原則とする多くの国々で、公務員に対する「政治活動の自由」が保障されています。とりわけ、前記の「勧告」では、たんに教員の個人的な自由を保障するにとどまらず、教員の専門性の保障と発揮という観点からも積極的に市民的・政治的権利が位置づけられています。



 現在、教職員の政治活動については、制限がかけられています。「管理職ニューコモンセンス」という管理職登用試験用参考書によると、五〇年前までは、「地方公務員法」の適用を受けて、自分の勤務地でのみ選挙活動が制限されていたのが、自分の言うことを聞かない教員に腹を立てた当時の与党政権が法律改正をし、「当分の間」その政治活動の制限を国家公務員並みに全国一律に及ぼした、とあります(以上は「管理職ニューコモンセンス」による)。
 また、この時から教員に準用された、「国家公務員法」と政治活動の制限を定めている「人事院規則一四―七」ですが、これは「GHQに押し付けられた」と、これらが定められた当時の人事院総裁が東京高裁で証人として証言しています。要は、労働運動の主軸を担っていた公務員に対して、対日占領政策を変化させたGHQが制限を加えたものです。
 公務員の政治活動の制限自体は、アメリカにもあります。しかし、それは、アメリカ独特の風土の中で生まれたものです。というのは、二大政党制の中で猟官主義がはびこっていたアメリカでは、政権党が変わるたびに敵対政党支持の公務員を首にする、ということが頻繁に行われていました。そうした中では、「公務員が政治的に中立である」ことが、「公務員の身分を守る」ことであったのです。その余韻は、日本の「地方公務員法」に少し残っています。具体的には、三六条に以下のように書かれています。
「3 何人も前二項に規定する政治的行為を行うよう職員に求め、職員をそそのかし、若しくはあおつてはならず、又は職員が前二項に規定する政治的行為をなし、若しくはなさないことに対する代償若しくは報復として、任用、職務、給与その他職員の地位に関してなんらかの利益若しくは不利益を与え、与えようと企て、若しくは約束してはならない。」
「4  職員は、前項に規定する違法な行為に応じなかつたことの故をもつて不利益な取扱を受けることはない。」
「5  本条の規定は、職員の政治的中立性を保障することにより、地方公共団体の行政及び特定地方独立行政法人の業務の公正な運営を確保するとともに職員の利益を保護することを目的とするものであるという趣旨において解釈され、及び運用されなければならない。」
 この条文からは、「政治活動の制限」が議員や上司などの命令による、いわゆる「ぐるみ選挙」から職員を守るための規程であることが明確に分かります。